big fan of 2000年代Hiphop

好きな音楽についての思い出や感想等を書いてます。

「泣き」のHiphop

 あくまで軽口の類ですが、BLAST誌の最終号のStak vs NumataのコーナーにおいてStak氏が最後に「ヒップホップに涙はなしだぜ」と発言しており、雰囲気的に冗談半分だと思いますが、基本的にはHiphop、それも創成期から、または東海岸のものを好むリスナーであればこの価値観に多くが賛同するのではないでしょうか?やはりHiphopにはbattleやcompetitionといった要素が大きな位置を占めており、一般的にはその土俵で勝ち上がってきた者が評価されるわけで、「強さ」を過剰に誇示することはあっても「弱さ」は少なくとも勝ち上がり、ある程度の地位を手に入れるまでは決して見せず、ようやく一端のラッパーとしてアルバムを出せるレベルにきて初めて、勝者の立場から振り返って苦痛や悲しみの吐露といった「弱さ・繊細さ」を出せるに至ると考えています。勿論商業的にもアルバムのバラエティーのためにそうしたしんみり系が必要です。

 こうした「泣き」の曲は90年代にもありますが、00年代にはシンガーがフックを担う曲がトレンドとして爆発的に増え、なおかつチャートでもよいアクションを示し、まさに00年代はこうした曲の最盛期であったと思います。

 そして、そうした曲が私の琴線に触れるに至り00年代メインストリームHiphopR&Bにのめり込み、今現在も愛聴しています。

そこで今回は、数多ある私的に「泣き」を感じる曲を1曲紹介します。また、これからもこのタイプを紹介することが多くなると思います。

 今回の曲はPaul wallの2005年作のアルバム「People's champ」のラストを飾る"Just paul wall"です。

この曲でPaul wallは(おそらく)ここに至るまでの生い立ちや苦痛、もがきを描写していますが、しかしそこには希望や決意といった力強さもみられ、大らかで暖かな印象を受けます。そうした印象を与える大きな要因はサウンドで、ここではEarl Klughというギタリストの”Long ago and far away"という曲を拝借して、私的にはサンプルというより弾きなおしたように聴こえるのですが、曲の冒頭と後半で弾かれる、切なさと暖かさを伏せ持つ元曲の最も情感の豊かなギターのメロディを贅沢にループし、さらに曲の始まりと終わりにレコードリスニング特有のパチパチノイズを配することで曲により一層の暖かみとレトロ感を加味して2005年版ソウル・ミュージックと呼べるような仕上がりになっています。

 こんな感じでこれからも好きな曲を挙げていこうと思います。