big fan of 2000年代Hiphop

持っているCDと雑誌を管理するための記録ブログです。

コンピレーションCD「FRONT Presents Diggin’ From The Vaults~Muro's Summer VIbes」

 今日聴いたのはHipho・R&B音楽誌「FRONT」(後にblast、BLASTに改名)が企画してMuro氏がコンピを編んだオムニバスCDで、収録曲は70年代のSoul、Jazz、Funkになっており、聴いている時は気づかなかったのですが、「Summer Vibes」と銘打っており、テーマは夏に合う曲のようなのですが、私は特に夏に合う感じはしませんでした。むしろ暖かみを感じる、冬に合うような感触を受け、まさしく今の季節の犬の散歩時にピッタリでした。

 これはまったりとした感じの曲は冬に、その逆にシャキっとパリッとしたサウンドは夏に合っていると僕が考えているためで、Muro氏との感覚の違いからきています。

 というわけで、僕はこの作品を冬に楽しませてもらうことにします。

 季節に関してはさておき、収録曲はとても良い曲が多くて、なおかつ知らなかったアーティストが多くてとても勉強になりました。特に良かった曲を以下に貼らせていただきます。


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 これこそ冬の夜に聴きたいです。この曲はWarren Gの"Dope Beatの元ネタなのですが、そこで使われた子守唄のような響きのメロディが"暖かみを感じさせます。加えてその曲を収めたアルバム「I Want It All」を僕が冬に聴いていたからこの曲のメロディに冬を感じるのかもしれません。


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 この曲が一番気に入りました。跳ねたビートに切なさを感じさせるヴォーカルにキュンときます。

蛇足ですが、僕が夏に聴きたい曲も貼らせていただきます。


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このはつらつとしたカラッとした曲調が真夏の炎天下で聴きたいです。


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 多分僕は夏は涼しくなるような曲でなく、熱くてヤケッパチの気分をさらに焚きつける、そんな曲が好きなんだと思います。


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涼しくなるような曲となると以下の2曲となります。


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さざ波のようなメロディとチャーリー・ウィルソンのやさしいヴォーカルが爽やかな癒しを与えてくれます。


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 ロジャーによる狂おしいトークボックスが美味の本曲ですが、涼しさを求めるならこちらのヴォーカルなしのインスト版の方がクールで夏には良いのでは?まぁ12インチ盤の長尺バージョンならロジャーのヴォーカル入りかつ後半にたっぷりインストタイムもあるので、熱くも涼しくもしてくれる、2度おいしい傑作です。

FRONT及びblast(BLAST)は僕の愛読書なので、このCDを見つけた時はとても嬉しかったです。まさしくこのCDはFRONT(というか佐々木士郎氏が)よく使用していたタームである、「HIPHOP IQ」の向上にもってこいの作品です。

Roy Ayers Ubiquity「Everybody Loves Sunshine」

 今日聴いたのはヴィブラフォン奏者のロイ・エアーズと彼のバンド?による76年の作品「Everybody Loves Sunshine」でした。初めて彼のアルバム作品を聴いたのですが、正直どれがヴィブラフォンによる音なのか分かりませんでした(泣)。僕は楽器経験が皆無なため、音楽を聴いていてもその音が何の楽器による音なのか分からないことが多く、こうして音楽について感想なり文章を書く際に困ることがあります。

 そんな僕の感想としては、全体的にオシャレで少しナスティーな、大人の音楽といった印象を受けました。(具体的な曲としては"The Third Eye")

 それと祭り感があるのですが、アメリカ的な祭りと言うよりも、アフリカ大陸の(メチャ範囲が広くてアバウトですが)どこかの民族の祭事で奏でられる祝祭音楽っぽさもありました(具体的な曲としては"Hey,Uh,What You Say Come On")。

 通して3回程聴いたのですが、やはり耳に残るのは表題曲の"Everybody Loves Sunshine"で、この曲はMary J Blige曲で有名ですが、きちんと聴いたら不穏な響きの転調部分がTony Yayoの"Fake Love"の元ネタという発見がありました。私的にはメインのメロディよりこちらのダークな部分の方が好きです。メインメロディは高音のウワモノがまるで眩しいくらいの太陽光の射す晴れ陽気だとしたら、転調部分は一転してどす黒い雲に急に覆われたかのような不穏な曇天といった感じで、雰囲気がガラリと変わります。

 ちなみにたまたま洋雑誌Rap Pagesの95年11月号を眺めていたらロイ・エアーズの記事があって、そこに"everybody Loves Sunshine"使いの曲が6曲紹介されていて、この曲のHiphop世代からの人気っぷりがうかがわれます。

 タイトルが「Nobody Doesn't Love The Sunshine」と気の利いたフレーズがナイスです。


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 このどんよりとした不穏なメロディの方がメインのメロディより好きです。

Fingazz 「The Late Night Hype」

 2007年にリリースされた本作は、それまでに彼が手がけたフックがトークボックの曲や丸々トークボックスによるソウル・ファンクのカヴァーとは一味違って、トークボックスを使わない曲が多数収録されており、それがとてもクオリティーが高くて、僕の中での彼の評価がより一層高まりました。ここで多く聴かれるのはトークボックスではなく早回しされた声ネタで、それが甘酸っぱさと哀感を演出していて、西海岸チカーノ系の晴れやかさ・爽やかさに合わさってとても気持ちよく、味わいのある音楽となってます。

 チカーノと言ったのですが、ほとんどチカーノを聴いたことのない僕が言うのはおこがましいのですが、ここで登場するラッパー・シンガーの声が男性は渋く、女性はキュートかつセクシーで、アフリカンアメリカンのヴォーカルに負けず劣らず魅力的だと感じました。僕は人種による声質の壁は努力や技術で超えられないものであり、それゆえ日本人によるHiphopはフローはさておき声質があまり好みでないためほとんど聴かないのですが、(普通の歌、つまりJ-POPは好きです。)この作品を聴く限りチカーノはもっと聴きたいと思いました。ちなみにこの作品における使用言語は英語で、普段の洋Hiphopと同じだからすんなりと受け入れられましたが、もしスペイン語だったなら違った印象になる気がします。

 ちなみにこの作品は正式リリース前にタワレコにて数曲のスニペットを収録した無料のサンプルCDが視聴機横に置いてあり、確か僕は2007年のGW頃にたまたま手にして、一聴して一発でやられた思い出があります。メルカリにそのサンプルCDがあってとても懐かしくなりました。


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 ダイナミックな鍵盤とストリングスが華やかなトラックに、キュートなサビや、はさみこまれる「トゥルトゥルトゥ~ル~♪」が甘酸っぱくたまりません。ラップも低音のどっしりした男前でナイスデュエットです。

  上記以外にも、ゆるゆるのドープシット"West Coast"とエモーショナルで泣ける美曲"Everything Is Gonna Be Alright"という2曲を貼りたかったのですが、そちらはYoutubeにありませんでした。おそらくこの作品が日本のみでリリースされた?作品っぽいのであまり海外では認知されていないのかもしれません。Discogsを参考にすると2007年日本リリースで、その他のヴァージョンとして2008年リリースのアメリカ盤があるようなのですが、そちらは出品が1点のみなので、海外のファンにとってはレアな作品のようですが、この傑作が広く知れ渡っていないのは残念です。