big fan of 2000年代Hiphop

持っているCDと雑誌を管理するための記録ブログです。

Mariah Carey"It's Like That"

 2005年リリースの「The Emancipation Of Mini」からの1stシングルである本曲。ProはJermaine Dupriで、サウンドは前年にR .Kellyが2枚組の内1枚丸々取り組んだシカゴのダンス及びサウンドである「ステッパーズ」を本家よりもスロウに、リラックスさせた感じです。しかしベースものや流麗なR&Bも作る多才なDupriが作っただけあって、きちんと彼らしさも加味されていて、ボトムは808の「ボーン」や「コンコン」といったゆるく鳴りのキモチいいもので、ウワモノはサビで上品に展開するオルガンとちらほら加わるちょっととぼけたフルート的な音が曲に華やかさを与えています。

 歌はMariahのヴォーカルがまるでトラックとステッパーズダンスを踊っているかのように伸び伸びと合わさり、サビではバックのヴォーカルとDupriの合いの手とFatman Scoopの煽りも加わってダンスパーティの様相を呈しています。ダンスパーティーと言っても爆発的に盛り上げるのではなく、大人のピースフルダンスパーティーサウンドといった感じです。

Rihanna"If It’s Lovin' That You Want"

 カリブ海のバルバドスという国出身の当時ティーンエイジャーだったRihannaによる2005年リリースのアルバム「Music Of The Sun」からの2ndシングルとして発表された本曲。Proは私的に小粋なイメージのあるTrackmastersによるもので、元気でハリのある跳ねたドラムが耳を引くドラムオリエンテッドなトラックにRihannaの色情をそそる子猫フレイバー薫るヴォーカルが添えられた全方位対応Musicです。しかしただのフィールグッドMusicではなく、そこはやっぱりHiphopの雄、Def Jam発なので曲にイカシたスパイスとしてBoogie Down Productionsの"The Bridge Is Over"のフレーズをスクラッチ的にまぶして可愛さの中にストリート感のチラ見せに成功しています。おそらくBDPを使ったのはRihannaの出自と曲の雰囲気(カリブ・レゲエ感)に絡めて、KRS-Oneのそっち方面への親和性(ラガフロウ、父親がトリニダード島、義父がジャマイカ出身)からの遊び的チョイスだと思います。

 この曲を聴いて僕の頭に浮かんだ感覚を単語で挙げるなら、カリビアン、ダンストラック、ダンスホールレゲエ、レゲエ、パーカッシブ、ラテンといった感じで、HiphopR&Bばかり聴いていてそっち方面はとても疎いので、すごく新鮮に聴こえ、そうした音楽にも興味が湧きました。(と言いつつもう十数年経っても同じ範囲のものばかり聴いて、新たな領域に中々踏み込めない臆病者です…)

 ちなみにPVを観るとデビュー間もないのにRihannaの立振る舞いが堂々としていて、とても余裕を感じさせるもので、イケてるお姉さん感の強い、カワイイのにめっちゃクールなキャラクターでこれはすごいやっちゃと思いました。

 

Usher"Throwback"

 Usherの2004年リリースのアルバム「Confessions」収録の本曲。Proは当時Hiphopプロデューサーとしてバリバリに大活躍していたJust Blazeで、彼は「アゲアゲソングなら俺に任せろっ!」ってなくらいハイパーなテンションの曲作りに定評がありますが、センチメンタルな曲でもいい仕事をするんです。最も有名なものはJay-Zの"Song Cry"ですが、それに匹敵するくらい本曲は切なく、胸が締め付けられるセンチメンタルソングです。

 歌詞の日本語訳を読んでみると、Usherと客演のJadakissが全編にわたってメソメソしており、特にJadaのパートに「枕は涙でグショグショ」というフレーズがあり、アメリカ人も「枕を濡らす夜」的な表現を使うのだ、という発見がありました。

 そんなメソメソした歌にマッチしたトラックはDionne Warwickというシンガーの"You're Gonna Need You"という曲をサンプリングしているのですが、贅沢にかなりの長い尺を拝借しているのですが、原曲の完成度が高いので,何も小細工せずに美味しい部分を余すところなくシンプルに使ったのが功を奏しました。本曲はJust Blazeのセレクトセンスの良さが光った、雨の日に合いそうな大人の曲です。