big fan of 2000年代Hiphop

持っているCDと雑誌を管理するための記録ブログです。

The Game ”California vacation "

 The gameの2006年作アルバム「The doctor's adovocate」収録の本曲、proは前年に50cent,Tony yayo,Trey songz等のアルバムに参加していた南アフリカ生まれ、カリフォルニア育ちのユダヤ系白人のJonathan”J.R"Rotem。これらのアルバムにおいてシングルにこそならないもいのの際立った楽曲を提供しており、その才能の片鱗を見せつけておりましたが、2006年にはRihanna、Sean kingstonのシングルでチャートを制するなど大活躍を見せます。本曲はそんな脂の乗り切った時期の作品であり、私的にはTony  yayo”We don't give a fuck"に並ぶベストワークだと思います。

 そんな彼は(きちんとした経緯は調べていないのですが)Dr Dre、Aftermathと縁深く、Dr DreのDetoxの制作に参加し、Dreにトラックを提供していたことからも明らかなようにDreライクなハードでシリアスなものはもちろん、No.1ヒットも作れてしまうとても器用な人であり、色んな作風で楽しませてくれます。

 そんな彼がDre不在の本アルバムにおいて他のAftermath組Pro(Dj Khalil,Hi-tek,Scott storch)を差し置いて最もエッジーでハードな”G"ソングを制作。3人のラッパーもここでは冗談の通じない空気をプンプン漂わせ、他の2人に比べるといくらか緩いフロウのSnoopも目の笑ってないラップを聴かせ、Xzibitは普段よりもさらにドスを効かせた好戦的なラップをかまします。もちろんGameの凄みも2人に引けを取りません。私的にはXzibitの咳込みするところが一番好きです。

 しかし、この曲の醸すとてつもない緊張感の源はズバリ、Jonathan Rotemによるサウンドに他ならず、「The chronic」期の高音シンセと2005年以降のズッシリと重く、そして着地と同時に細かく無数に砕け散る様が浮かぶようなハードでクリスピーなドラムにシンプルでシリアスなピアノフレーズといった、当時のDreのシグニチャサウンドを自らの手中に収めた上で、ここが一番の肝だと思うのですが、Jonathan Rotem独自の灼熱感を感じさせるシンセ音を加えることでオリジナリティーのある、他にはないサウンドを生み出しています。結果的にアルバムの懸念要素であったDreの不在を見事に払拭する働きをここでは見せています。

Ludacris "Child of the night"

 Ludacrisの2004年作のアルバム「The red light district」収録の本曲、ProはAK all dayなる初見の人物ながら、アルバムにおいて他のAランクProの仕事に引けを取らない華やかなトラックを提供。同作参加でこの後にCiaraやRich boy,Young buck等のシングルでブレイクするPolow da donによる”Pimpin' all over the world"に並ぶ、艶とコクのあるトラックでこれぞメジャー作品のサウンドいえる迫力のある曲です。

 サンプル源はスーパーソウルフル姐さん、Teena marieの静かに燃えるスロウ、”Portuguese love"ですが、単純に用いるのではなく元曲のピアノフレーズを叩きつけるかのような音像に変え、そこにブンブンいわしたベースとドラムをこれでもかと全面に出すことで著しくドライブ感が生まれ、さらに元曲ではちょっとしたフレーズであったヴォーカルも早回しすることでより一層のドライブ感の創出に一役買っています。加えて2005年ならではのシンセのフレーズをそこかしこで鳴らすことでとてもカラフルな垢抜けたトラックとなり、そこにNate doggの悪セクシーなヴォーカルとLudaのエネルギッシュなラップ。まったくもってつけ入る隙を与えない頑強さがこの曲にはあります。足しの美学の最高峰といった感じで、非シングルながら間違いなくオーディエンスを沸かす、そんな一曲です。

The Notorious B.I.G "Ultimate rush"

 Bad boyによるビギーの生前の素材を使って当時のトップランナーとの疑似共演を目いっぱい収めた2005年作アルバム「Duets: The final chapter」中の、proはスコットストーチでミッシーが参加の本曲。90年代からのビギーファンにはトラックとゲストの内容もあってか評価はいまいちかもしれませんが、90年代のビギーは知らず、05年当時のシーンが何よりも好きだった自分にとっては超豪華なオムニバスアルバムとして捨て曲なしの大傑作です。

 そんな本作の中でも、My favorite producerのトップ10に間違いなくランクインするスコットストーチによる本曲は、そのトラックもさることながらミッシーというOne and onlyなお方によるラップ芸がいかんなく発揮され、シングルカットされた2曲に勝るとも劣らないアグレッシブな曲です。中毒性のあるウワモノに、定期的に小節末に響くRush感を強めるシンセ音。トライバルなジグザグビートにミッシーのNastyなフロウがハマって、ミッシーのヒット曲、"Get ur freak on "のUpgrade版といった印象を受けます。

 この曲以外にも、参加しているRapper・Producerは2005年当時のオールスターですので、この頃のサウンドが好きな方なら非常に楽しめるアルバムだと思います。そしてそうしたメンツが集まったのも各アーティストのビギーに対するリスペクトの大きさとDiddyの業界における存在の大きさ故ではないでしょうか?個人的にはこうした企画を実現してしまうDiddyのパワーに只々舌を巻いてしまいます。