big fan of 2000年代Hiphop

持っているCDと雑誌を管理するための記録ブログです。

Knoc-Turn'al

 今回は以前N.W.Aの"Express Yourself"の記事で名を挙げた、ノクターナルの曲を紹介します。彼に関しては、映画「The Wash」のサントラからのシングル"Bad Intentions"しか知らなかったので、紹介するにあたって彼に関する雑誌やCDをチェックしてみたのですが、今までスルーしてたのがもったいないくらい良い曲が多く、好きな音楽が増えたので良かったです。それまでは雑誌で表紙を飾ってたり、インタビューは掲載されていたものの、作品(曲やアルバム)が年間ベストなんかには入らない感じだったので、軽視してました。しかしよくよく考えたらDr Dreがバックアップするほどだから只者じゃないですよね。

 それでは曲の紹介に入ります。


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  月並みですが、ノクターナルと言えば僕はこれ(しか知らなかった)だったので、まずはこちらを彼の代表曲として紹介します。

 でもこれ、実際はフックのみの起用+トラックのインパクトが大で、彼はあまり爪痕を残せていないのですが、彼の存在が世間に知れ渡ったという意味で重要な曲です。ノクターナルは"Fuck You"のDevin The Dudeのような味のある、ニュルふわヴォイスを添えていますが、私的にはズンズン迫りくるループとフルートが気持ちいいトラックが印象的で、この曲からはまだ彼の実力は?です。 

 ちなみにトラックをドレと共作したマホガニーは、元はBad Boyの制作組で、ドレのDetoxの制作にも参加しており、ScratchマガジンのDetox特集にて顔写真入りで掲載されていましたが、もしDetoxがスムースに出ていたら、ビッグなプロデューサーになっていたかもしれませんね。これはラッパーならDetoxで大抜擢される予定だったBishop Lamontにも言えると思います。

 


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  こちらは音源流出というトラブルを乗り越えて、2004年に晴れてリリースとなったフルアルバム「The Way I Am」収録の、Timbalandによるコミカル電子ファンクです。Lloyd Banksの"I’m So Fly"をヤワくしたようなトラックがノクターナルの声質に合っています。Lloyd banksにはあの張り詰めたカチコチビートは合っていますが、彼にはこれくらい「隙」または「愛嬌」のある方が合っています。私的お気に入りポイントは、曲後半から加わる、Justin Timberlakeの"Sexy Ladies/Let Me Talk To You Prelude"の4分過ぎからでも使われているチンコロカンカン音です。ノクターナルについては、ラップは普通ですが、フックでの奇怪な歌がCee-Loに通ずる不思議な魅力を放っています。

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Erick Sermon

 今回は前回取り上げた、EPMDの片割れであり、ラッパー兼プロデューサーであるErick Sermonの、僕が知っている&持っている数少ない曲を紹介します。正直言って彼に関しては、EPMDのアルバム「Business As Usual」と2004年のソロアルバム「Chilltown, New York」と今回紹介する曲しか持っていないので、彼について書くのはおこがましいかもしれませんが、ご了承ください。


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 この曲が彼を知るキッカケになった曲で、僕自身は踊ることはできませんが、ストリートダンスのいちジャンルである「Poppin」がとても好きで(といっても生で踊っている人を観たのは1回だけで、6年くらい前だと思うのですが、お台場にある「デックス東京ビーチ」というとても大きなショッピングモールにて催された、「UK B Boy Championships」という、イギリスで開催されるストリートダンスの世界大会の、関東or東京予選を見に行ったのが唯一の体験なのですが)、YoutubeでPoppinの動画を観るのに一時期ハマっていて、その時に、韓国の有名なPoppin Hyun Joonという人の練習動画にこの曲が使われていて、「なんてクールなんだ!」と衝撃を受けました。PoppinダンスはFunkで踊られることが多いので、その流れでFunk感のある西海岸Hiphopも時おり使われるのですが、これはまさしく00年代版Funkといった趣の、ソリッドでクールな曲です。トピックとしては、Erick SermonとDJ Quikという東と西を代表するロジャーラバーの二人の共演で、サウンドは分かりやすいロジャー、ザップ感は無いものの、Zapp曲のフレーズを取り入れており、リスペクトが伝わってきます。ここでもやはりXzibitの拳に力を込めたような、強い圧を感じるラップがカッコイイです。


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こちらがそのダンス動画です。ダンス動画がキッカケで知った曲も多いので、これからたびたび紹介させていただきます。

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この曲はErick Sermonの2000年リリースのアルバム「Def Squad Presents Erick Onasis」に収録されています。

 


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 次の曲は、僕のマイベストアルバムTOP10に入る、私的クラシックであるBusta Rhymesの2006年リリースのアルバム「The Big Bang」収録の、Erick Sermonプロデュース(Additional ProとしてDreが参加)の、引きずるような鍵盤が印象的な、ダークでアルバムの全体的なカラーに沿った、シリアスチューンです。この曲はDreと、キーボード担当のDawaun ParkerとChe Viciousというアフターマス組のカラーが強く出たものです。

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 マイベスト10に間違いなく入るこちらのアルバムでのドレー仕事が、僕の最も好きな彼の作風です。インタビューや雑誌の記事によれば、ここで使われたビートは元々「Detox」のマテリアルだったようです。同様に「Detox」用であったであろうトラックは、同年2006年リリースのThe Game、Snoop、JAY-ZNasのアルバムにて使用されたようです。

 


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 最後に紹介するのは、Erick Sermonが、尊敬するRoger Troutmanと共演した、キレッキレのFunkです。この曲もEPMDはあくまでも脇役なので、Erick Sermonがテーマの本記事で紹介するのはちょっとアレですが、こうでもしないと僕の知っている範囲で彼について書こうとすると何も紹介できないので、ご容赦ください。彼について書くには時期尚早でした。少なくとも未聴中古CDの中から発掘した、2004年のソロアルバム「Chilltown, New York」を聴いてからにすべきでした。また修行を積んでから出直します。押忍。

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 この曲はほんとカッコイイですよね。これ以上何も足す必要のない、完璧な出来だと思います。エッジーでエモーショナルで、クールでいて、なおかつキュートでチャーミングという、非の打ちどころのなさ。これって曲のみならず、ロジャーを表わすワードだと思うのですが、どうでしょうか?この曲を含めた91年のアルバム「Bridging The Gap」は、色んなタイプの曲が収められた好盤です。あれ、さっきっから全然Erick Sermonの話をしていない気が…。
 

 

EPMD 「Business As Usual」

 本来は前回記事でお伝えした通り、ノクターナルの曲を紹介する予定だったのですが、前回のThe Game"No More Fun And The Game"のモチーフとなった曲、EPMDの"For My People"を聴いてEPMDに興味を持ったまさにその時、たまたま目に付く所に以前安かったから買って1回くらい聴いてそれっきりご無沙汰だったEPMDの90年12月リリースのアルバム「Business As Usual」があったので、鉄は熱いうちに打て、じゃないですけど、せっかく興味が湧いたので改めて聴いてその感想を今回は書かせていただきます。

 以前1回通して聴いた時はあまりピンと来なかったため、それっきり忘れ去られていた本作ですが、今回は注意して聴いてみたら新たな発見もあったりして、少し勉強になりました。正直に白状しますと、僕はこのブログのタイトルで謳っているように2000年代(細かく言うと98年から2010年くらいまで)のHiphopR&Bが好きなのですが、80、90年代のHiphopは決して嫌いなわけではないのですが、そこまでグッとくるものではなく、あくまで00年代のアーティストや作品の、ルーツや影響源として、より00年代Hiphopの理解を深めるために聴いている感じがあって、それらの時代の音楽を聴いて、純粋に「スゲェ!」みたいに感じることがほとんどないんです。ですが80、90年代の作品はメディア、リスナー、アーティストと、皆が口をそろえて「黄金時代」と呼び、反対に00年代のものは「Pop化した商業主義Hiphop」と言われたりして評価は低く、僕が最も悲しく感じるのが、00年代の雑誌等のインタビューで当のアーティストが「今のHiphopは良くない」というようなことを言っているのを見たときです。僕はそのインタビューを受けているアーティストはもちろん、その人が良くないという(00年代のメインストリーム)Hiphopが何より大好きなので悲しくなります。

 そうした意見の中で、最も僕の心に残っているものは、2006年のbmr誌に載っていた、HOT76のパーソナリティのミス・インフォさんのインタビューにて、「(現在のHiphopの)アルバムの8割は捨て曲だし。きょうび、最初から最後まで面白く聴き通せるアルバムは驚くほど少ない。」とのコメントです。(ここでは00年代シーンに対する失望のようなコメントを抜粋して引用しましたが、記事全体はとても貴重な体験・証言や意見が述べられており要チェック&ナフリスペクトです。)

 僕はこれを見て驚きました。逆に僕は00年代のアルバムは嘘偽りなく、最初から最後まで楽しめますが、80、90年代の作品は嫌いだったり、捨て曲だとは思いませんが、あまりグッと来ず、さらに個々の曲の区別があまりできず、みな似たような曲に感じ、途中で退屈に感じてアルバム1枚通して聴くことができません。これが僕の最もコンプレックに感じるところで、英語が苦手なことよりも、「黄金時代」と言われる時期のHiphopに心を揺さぶられない自分の感性に引け目を感じることがあります。だから18年間もHiphopを聴いているけれど、80、90年代ものに対して驚くほど無知です。そうした背景もあって、非オーセンティックなHiphopファン故にブログのような場で発信することに二の足を踏んでいました。

 まとめると、僕はHiphopミュージック全般が好きなのではなく、ある特定の時代だけ好きな人間なわけです。そんな偏った好みの僕ですが、00年代のHiphopは心の底から好きなので、あくまで自分の好きな範囲のHiphopについて、このブログを通して「好き」をより深めていければと思います。

 急に僕の好みの話をぶっこんでしまってすません。ですがそういった好みの持ち主なので、80、90年代の作品は00年代Hiphopの深い理解のための「お勉強」的なリスニングになってしまうことが多いので、頓珍漢なことを書いたりすることも多々あると思いますが、僕なりの「Hiphop愛」の探求と表現をブログを利用してできればと思います。このブログのスタンスを色々と考えたのですが、心持ちとしては、高校生の頃、安いポケットラジオと粗末な数百円のイヤホンで、Hiphopがたまに流れてきたときの心底嬉しくて楽しかった頃のフレッシュな自分に戻ったつもりで、初心を忘れず、Hiphopと付き合っていきたいです。だからこのブログは僕にとっての「Hiphop」という教科の勉強ノートとして活用しようと思います。知ったことや学んだことはアウトプットするとより知識が定着すると言いますし、人に紹介する、教えるという行為は何より勉強になると読んだことがあるので、そうしたこともやろうと思います。一番の目標は、質は問わずに、とにかく継続することです。

 とまぁいつものように長い決意表明をしましたが、本題であるEPMDについて書かせていただきます。

 EPMDについては、エリック・サーモンというプロデューサーがいる二人組、くらいの知識しかなく、全くのド素人状態で「Business As Usual」を聴きました。以前1回聴いた時は、Fabolousの"Return Of The Hustle"のイントロで使われたストリングスフレーズに反応したくらいで、印象は薄いものでした。今回は何か感じ取れるよう注意して聴いてみました。

 それでは、以下で気になった曲やその感想を書きます


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この曲を聴いて、はて、どこかで聴いたことがあるぞ、と思ったらデスチャのベストアルバムに入っていた"No ,No, No Part2"でした。デスチャの曲はビヨンセの、ラップのような跳ねた歌がトラックにマッチした、Hiphop寄りのクールなR&Bです。元になったこの曲はフックでのフルート?の音やシャキシャキしたドラムがクールで、ファンクを感じます。デスチャ曲がオリジナルだと思っていたのですが、90年のこの曲は00年代と言われても違和感ないくらいシャキッと、クリアーな鳴りで、気に入りました。

 


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それまでのクールな様子から一転して、緑の眩しい壮大な山々&ブランコの転調が良いアクセントで好きです(笑)。

 


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 定期的に鳴らされる「キラリン☆」というマジカルなウワモノにキュンとするも、全体としては男らしいベースラインとキレの良いスクラッチがリードする首振りチューン。ちなみに僕のノリ方は頭を振るヘッドバンギンというより、ニワトリの動き?みたいなアゴを突き出すタイプのリズムの取り方です。

 


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 コロコロとリズミカルなピアノループと、フックのスクラッチがともに小気味いい、タイトルとおりのファンキーチューン。

 以上がアルバムの中で気に入った曲なのですが、blast編集部員の小林昭彦氏によるライナーノーツには「ハッキリいってこのアルバムには、ファースト、セカンドなんかよりも断然"毒素"が強いから、取り扱いには注意だぜ!」って書いてあるのですが、僕の気に入った曲がたまたまそうだったのか、私的な感触はキュートなとっつきやすいファンキーHiphopでした。また縁があれば他のEPMDのアルバムやエリックサーモンのソロにチャレンジしたいと思います。

 次回は僕の持っている、知っているEPMD関連曲を紹介しようと思います。正直、紹介するやつ以外は知らない、というくらい超ビギナーですが、ブログのネタ稼ぎとして無理矢理ですがEPMD話を続けます。

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 今回取り上げたEPMDの90年12月リリースのアルバム「Business As Usual」です。これはLPではなく紙ジャケCDです。