big fan of 2000年代Hiphop

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Lil Wayneの歌 

 前回のBig Moeに関連して、今回は僕の好きな歌もこなすラッパーについてです。

 僕がHiphopに出会い、熱中した2000年代は歌うラッパーが大活躍した時代でありました。パッと思いつくところでJa RuleNelly、50Cent、Kanye West、Chamillionaireなどがラップと歌の両方をこなしてヒットを飛ばしていました。

 そんな時代にあって、僕が最も好きだった歌うラッパーはズバリ、Lil Wayneです。彼は自らを「Best Rapper Alive」と称し、特に2005年末の彼のアルバム「The Cater Ⅱ」から2008年6月リリースの「The Cater Ⅲ」、そして2008年当時、彼と共に大ヒットを連発したT-Painの2008年11月リリースのアルバム「Three Ringz」に至るまでの期間は、まさしく彼は無双状態で2000年代後半は彼の時代であったといっても過言ではありません。

 彼のラップはその一聴して分かる唯一無地の声とフロウ、そして私は分かりませんが言葉選びやトピックのユニークさが魅力ですが、そのスキルや味が2000年代後半には誰が聴いても違いが分かる程飛躍的にパワーアップしました。

 僕の感覚で言うと、彼のラップが別次元に変身したのを感じたのは上記のアルバム「The Cater Ⅱ」収録の"Shooter"での縦横無尽なラップからで、それまでは何となく自分の「らしさ」を出すことを遠慮していたのかな?と思える程この曲での彼は遠慮もクソもない、自信たっぷりの、本当の彼を出せていると思います。

 そしてこの大変身はラップだけでなく彼の「歌」にも起こっており、これ以降の彼の歌は、とても味わい深い、今まで存在した歌うラッパーの中でもずば抜けて人の心に響くものとなり、フックを彼に任せる形の客演が増えました。

 最初に紹介する曲はそんな彼の歌をたっぷり堪能できる、彼が1曲丸々歌ったものです。さらにこの曲は前回取り上げた今は亡きBig MoeとPimp CというH-Townの偉人にリスペクトを示したとても意義深い曲でもあります。この曲を聴いて初めてLil WayneがBig Moeのことをとてもリスペクトしていたことを知ったのですが、確かに彼はニューオーリンズ出身でありながら、ヒューストンのラッパー以上にH-Townのカルチャー(Screw Musicとライフスタイル)を取り入れている面があり、H-Townブームもすっかり落ち着いていた2008年以降のシーンにおいてのH-Townカルチャーのアンバサダーは彼だったのではないかと思います。具体的なアクションとしては、Bun Bのアルバム「ⅡTrill」へのアシストや、自身の放った大ヒットソング"A Milli"における執拗なスクリュー化した声ネタ使い、そして日頃からあのパープルなシロップを嗜むといったもので、彼の活躍によってH-Townカルチャーはブームの過ぎた後も人々に忘れ去られることなく、確固としたカルチャーとして世界に認知されるに至ったのだと思います。

 それではようやく曲の紹介に入りたいと思います。まずはLil Wayneが歌に専念&Big MoeやPimp Cに敬意を示した、彼のH-Townへの思い入れが強く表れた1曲です。


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 続いては僕が個人的に彼がネクストレベルに突入したと考えている曲で、同じアルバムの中でもこの曲だけ別人のようにズル剥けた、生命力をドクドク感じさせるラップだと感じます。曲に関しては、ゆったりと始まり、そこからアミューズメントパークを巡っていくように色んな音、それは楽器だけでなくシャウトも含めてがその時その場面ごとに顔を出すにぎやかなもので、さらにそこに主役の二人のはじけるような生きの良いヴォーカルパフォーマンスも加わって、良い意味で騒々しい、第一級のエンタテインメントとなっています。


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 ルダクリス主宰のDTPからの二人組、Playaz Circleの2007年のデビューアルバム「Supply&Demand」からのリードシングルである本曲は、ドカドカと雪崩れ込んでくる勢いのあるシンセが耳に残るドラマチックな曲ですが、この曲のヒットの要因は華やかなトラックと、それに丸ごとかぶりつくようにフックを歌うLil Wayneによるもので、失礼ながらPlayaz Circleの二人の印象が残らない程Lil Wayneに持っていかれてます。