big fan of 2000年代Hiphop

好きな音楽についての思い出や感想等を書いてます。

Dr Dreのラップ

 Dr Dreは僕の一番好きなプロデューサーなのですが、プロデューサーとしてだけではなく、彼のラップ(フロウ・声・タイム感?)も一番とまでは言わないもののトップ5に入るくらい好きです。どんなところが好きかと言うと、重心がしっかりとした、軸のぶれないフロウで、発声もキレイで英語の意味は分からなくても言葉の一つ一つが聴き取りやすく、単語を音楽の中でいちサウンドとしてカッコよく響かすことのできる稀有なラッパーだと思います。また彼自身がギャングであったことはないということは広く知られていますが、彼がエンターテインメントとして創り出す「ギャングスタラップ」の世界観にバッチリとハマる、コワモテで凄味を感じさせる声の持ち主でもあります。

 今回はそんな彼のラップに焦点を当てて、僕が個人的に好きな曲をいくつかご紹介します。Dreも時代によって声やフロウが違いますが、僕の好みのラップスタイルは意識して低く、コワモテにしていた2000年代後半のものばかりですので、そこのところはご了承ください。


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まずはコンプトンの後輩、The Gameとのジョイントで、デビューアルバムにはDre無しのバージョンが収録されましたが、こちらがオリジナル?のようで12インチやMixCDにて聴くことができる本曲は、正規アルバムにおいて"Westside Story"に並ぶ殺伐としたトラックが耳を引き、なおかつ"Westside~"同様に出身地レップものなので、コンプトンの先輩・後輩がそろったこのヴァージョンの方がバッチリだと思うのですが、なぜかゲームだけのものが収録されました。

 今回のテーマであるDreのラップについてですが、この曲では血気盛んでハードなイメージを売りにデビューした主役のゲーム以上に、ツッパリ感の強い「G」を感じさせるラップをかましてます。私的お気に入りポイントは「ビズマーキー」と「ビートボックス」の発音が異様に気合が入った声でシビレます。


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登場人物全員が激しくナスティーなヴァイブスで迫りくる本曲は、この時期のティンバのダークな作品(Young Jeezyの3 Am、スヌープのGet A Light、Lloyd BanksのMy House等)の中でも頭一つ抜けたダークバウンスチューン。ここでのドレはかなり作ったドスの効いた声でスピットしており、私的ときめきポイントは「バンガロー」の発音と「パー二ーエンセム(Panty Anthem)」の卑猥な発音・抑揚がゾクゾクします。

 たしかこの頃はDetoxの制作真っただ中だったらしいので、もし当時予定されていた2007年9月のリリースが実現していたらアルバムで聴けるDreのラップはこんな感じだったのではないでしょうか?

 またこの曲でのミッシーのフリーキーでナスティーなラップも聴きどころで、この曲に通ずるヤバさを感じさせるものに前年のバスタとの"How We Do It Over Here"があり、この相性の良さから私的にはDreには是非ミッシーとがっつり組んでみて欲しかったです。


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 この曲のトラックをDreがDetox用に欲しがっていた?みたいなことをどこかで見た気がするのですが、まぁとにかく珍しく本人がラップで参戦するくらいなので相当気に入っていたのでしょう。ラガっぽい豪快なカーディナルオフィシャルと、血の通ってない感じの(誉め言葉)クリプス兄弟もカッコいいですが、負けず劣らずDreのラップも声が太くて不穏なトラックにマッチしており、さらにBun Bが得意とする、文末の単語のセルフ反復ラップ?を取り入れたストロングスタイルがカッコいいです。私的にはトラックの初っ端から鳴らされる「オッホエー!」な掛け声がツボです。

 


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この曲は僕にとって2006年のベストソングです。初めて聴いたときはそのあまりの美しく重厚な鍵盤のメロディとDre印の重くクリスピーなドラム、シリアスなDre・Snoopのラップとせつなさと儚さをを感じさせるディアンジェロの美しいヴォーカルの全てに圧倒され、鳥肌が立ちっぱなしで、この曲の存在によって僕の中でNo.1プロデューサーはDreに決定しました。

 普段は日本盤を買ってもろくに和訳を読まないような「歌詞まったく気にしない」派の僕ですが、この曲はどうしても知りたかったので輸入盤を買ったにもかかわらず改めて日本盤を買うほどで、この曲に出会ったことで2000年代Hiphopに対する愛が一段上へギアチェンジした感覚を今でも昨日のことのように覚えています。

 和訳によれば「もしHiphopがこの世界になかったら?」ということをテーマにした曲で、DreとSnoopはHiphopが無い世界で想像される様々なアフリカンアメリカンの過酷な環境や心身を描写していきます。こうして改めて挙げてみると、Hiphopアメリカ黒人社会に与えた影響は、マイナスな面もありますが彼らの自尊心や気持ちの発露といった面においてはとても大きな役割を担っており、残念ながら2021年現在でもアメリカにおける黒人の境遇は厳しいものと言わざるを得ませんが、もしもHiphopがなかったら今よりもっと荒んだ世界になっていたでしょう。そう感じさせるくらいDreとSnoopが挙げるHiphop無き世界は辛いものとなっています。特にSnoopの「イライラがつのりながら、出す方法が無く、どれだけの人生が破壊されるか」といった部分が刺さりました。

 それでもこの曲には素敵なオチがありました。Hiphopの無い世界における数多の辛い場面を述べに述べた最後に、Dreは言います。「でもそんな想像は必要ない。黒人たちには才能があった。Hiphopの才能が。」